鉄の道を経て鈴鹿の上高地へ 2026.05.24

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【個人山行】鈴鹿・御在所岳~鈴鹿の上高地(神崎川上流部)~国見岳 HT

 鈴鹿の上高地で行われる集中登山参加のついでに気になっていた御在所岳のヴィアフェラータに行ってみることにした。
 ヴィアフェラータとはイタリア語で「鉄の道」を意味し困難な岩場が続く山にワイヤーや鉄杭を設置して安全に登れるようにしたルートの事をいう。日本では唯一御在所岳にそう呼ばれているルートがある。近くに住んでいるんだからこれはぜひ行ってみたいと思った。

<ルート図>
  • 日程:2026年5月24日(日) 天候:曇り後晴れ
  • 参加者:HT(単独)
  • 行程:スカイライン駐車地6:30ーヴィアフェラータ7:50ーカモシカ広場8:40ー御在所岳三角点9:25ー御在所岳西峰9:50~10:10ー鈴鹿の上高地(ヤブオフ会場)11:30~13:40ー国見岳15:00ー藤内小屋16:15ー駐車地16:40
  • 地理院地図2.5万図:御在所山

 6時過ぎに蒼滝近くの駐車地に到着するとスペースはすでに残り2台となっていた。さすが御在所は人気の山だ。早速準備して出発。

 車は多かったが早朝の裏道は静かだ。出会う人は全くなかった。藤内小屋も人気がなかった。

 藤内小屋から奥に進んで多分この辺りが取り付きかな、というところまできてウロウロした。日本唯一、と言われるぐらいだからそれらしい目立つ目印があるのだろうと思っていたがこれといって何もない。昨晩降った雨に湿った樹林で濡れながら痕跡を探したがよくわからず、いよいよ諦めて国見峠から直接ヤブオフ会場に向かおうと歩き始めたその時、ちょうど兎の耳岩の対岸に当たるところに踏み跡を見つけた。それを辿って山腹を登って行くと果たしてUの字のホチキスを打った岩場が現れた。やれやれ。

 岩は昨夜の雨に濡れていた。このことは想定していたので無理せず場所確認だけにすることも考えていた。しかし、いざ現場にくるともう登ることしか考えていない自分がいた。

 安全のため一応ヘルメットとハーネスを装着しカラビナとシュリンゲを用意して登り始める。
 濡れて滑るか、と思っていたホチキスは意外と乾いていて登りやすい。それでも一歩一歩慎重に登った。こんなところで高年単独登山者が事故を起こしたら世間から何を言われるかわからない。
 ホチキスを登り終えた後の岩場はほぼフリーのクラック。湿った岩に登山靴のフリクションが効くか不安だったが足をかけてみると意外とグリップがいい。調子に乗ってメインらしいルートの隣の長めのルートを登った。ちょっといやらしくドキドキした。

 上には塔のような大きな岩が立っていた。その岩に近づくと岩と岩の間に人が通れるくらいの隙間がありそこがルートだった。

 抜けるとゆるゆるのワイヤーが張ってあるトラバース。確保しないまま渡ったがちょっと怖かった(通常ヴィアフェラータではワイヤー、鉄杭などにシュリンゲ、カラビナなどで身体を確保して安全に登山をするらしい)。

 その後ルートを見失い気づけばホチキスの打たれた岩場を一つ通り越していた。今更戻る気も起きず短い縄梯子のかかった岩からワイヤー伝いに登って行く。岩は割とフリクションがいいが握ったワイヤーが滑って手を話したりしたらタダではすまなそうだ。

 ワイヤールートを登り切るとネットでよく見る大きなクラックが入った岩場。核心部、といった感じのところだ。
 高さは十数メートルといったところだろうか。そこに間隔の離れた支点が三つ。それぞれにカラビナがかけられているが支点間にはワイヤーなどの補助はない。ロープを出せばなんでもないクラックだがフリーだとちょっと気がひける感じだ。しかしここは思い切ってフリーで挑んでみた。

 広目のクラックにホールド、スタンスは豊富だ。ただちょっと高度感がある。それとホールドの裏側が濡れている箇所があってヒヤヒヤさせられた。支点のカラビナを掴んで呼吸を整え次に進む。上部はクラックというより溝のようになっていて安心感がある。なんとか無事に登り切ってホッと一息。晴れている時なら振り返ると絶景なのだろうが今日は生憎ガスのカーテンがかかる。

 ルートミスもあったしもう一度天気のいい時にきて見てもいいかなと思いつつ灌木の中の踏み跡を辿って登山道に出るとそこは「カモシカ広場」だった。ん?鈴鹿にカモシカいるの?(調べてみるといるらしい。出会ったことないが)

 登山道に出てからは登山者と前後して御在所山頂を目指した。道中、すでにシロヤシオは散っていた。
 御在所の三角点広場はあまり人がいなかった。風もやや強目ですぐさま足を返して知り合いだった方の慰霊碑へ挨拶に出向いた。

 
 その後、鈴鹿の上高地に向かうために御在所北西尾根へ入った。手製ではあるが道標があった。道もよく踏まれていた。途中、散ったシャクナゲの花が地面をピンクに染めていて綺麗だった。

 時間があるので西峰で休憩。まだガスがかかっていて風景は見えない。

 急遽、1066m標高点から上水晶谷の登山道へ向かって降りてみることにした。体力があれば帰りに国見岳に直登して国見尾根を下って見たいと思っていたので、時間があるし直登尾根の取付きの確認をしておこう。
 1066m標高点からの下りは急斜面ではあるがのびのびした樹林が続いて気持ちいい。地獄谷出合で登山道に出て下っていく。途中、登山道が崩れていて巻かなければならないところがあった。最近崩れたのか巻道ははっきりしていなかった。

 国見岳に直登するのにどこから取付くのがいいか地形図と実際の地形を見比べながら下っていく。だいたいの目星をつけてあとは鈴鹿の上高地へ一目散。
 集中登山メンバーは17名ほどすでに集まっていた。このメンバーで2時間ほど和気あいあいとした時間を過ごした。年に2回行われるこの集中登山は私の大切な居場所でもある。
 帰りは予定通り国見岳に登った。取り付いたのは上水晶谷の最初の二俣から伸びている尾根。前半急斜面だが後半は穏やかになり切り開きから青々とした樹林に覆われた御在所岳を見ることができた。時折は登っている人がいるようで所々目印もあった。

 山頂が近づくと岩場が多くなり雨乞岳方面の見晴らしが素晴らしい。

 登山道のような踏み跡に出て進んでいくと桃のような岩が鎮座した広場に出た。その岩にはその通り「桃岩」の表示がしてあった。

 しかし、これは山頂じゃないな、と後戻り。正規の登山道に出て無事山頂にたどり着いた。

 山頂の岩場では他パーティが写真の撮り合いっこをしていたので近くの見晴らしのいい岩場に移動して風景を楽しんだ。その後国見尾根へと下っていった。

 国見尾根は進んでも進んでもなかなか高度を落とさない印象。だがそこにある風景はなかなか楽しませてくれる。
 天狗岩やゆるぎ岩(上に載っている岩がカタカタと揺らぐらしい)など多くの奇岩が立ち並ぶ。

 また、御在所の藤内壁が正面に見えるのも面白い。足元をみればイワカガミが可憐な花を咲かせていた。

 最後は急斜面の激下りが続く。しかも長い。その途中には境石がありその岩肌に「界」の字が刻まれているのがなんとも意味深な感じだ。

 激下りをやっと終えると美しい藤の花が迎えてくれた。バラエティに富んだ1日を終えるにはいい締めとなった。